受け口をマウスピース矯正で治すことは可能?費用や治療期間も


受け口をマウスピース矯正で治すイメージ

受け口で、人前で笑うことや話すことに自信が持てないとお悩みではありませんか。歯並びは整えたいけれど、目立つ矯正装置は避けたいと治療に踏み切れない方もいるでしょう。

近年、目立たない矯正治療の選択肢として注目を集めているのがマウスピース矯正です。受け口の改善にも効果があるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。

本記事では、受け口はマウスピース矯正の適応なのか、矯正期間や費用、メリット・デメリットなどを解説します。

受け口とは

受け口の歯の状態

受け口とは、歯科用語で反対咬合や下顎前突と呼ばれる不正咬合の一種です。下の前歯が上の前歯よりも前に出ている噛み合わせの状態を指します。正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯を覆うように重なっています。

しかし、受け口の場合、この関係が完全に逆転します。奥歯で噛み合わせたときに、上の前歯よりも下の前歯が前に出ている状態であれば、反対咬合・受け口であると判断できます。

また、受け口は軽度から重度まで様々な程度があります。軽度の場合は前歯の数本だけなど、一部が逆の噛み合わせになっている状態、重度になると奥歯まで含めた広範囲の噛み合わせに問題が生じます。

会話や食事の際に、正しいあごの動きができずに、滑舌が悪くなったり咀嚼がしにくく食事の際に音を立てながら食べる方も少なくありません。成長期のお子さまの場合、あごの発育とともに症状が変化する可能性があるため、適切な時期での診断と治療計画の立案が重要です。

受け口を放置するリスク

受け口を放置するリスクイメージ

受け口を放置すると、見た目だけでなく、さまざまな問題が生じる可能性があります。以下に、受け口を放置するリスクを紹介します。

消化器系への悪影響

受け口を放置することで起こる深刻な問題のひとつが、咀嚼機能の低下による消化器系への負担です。受け口の方は、前歯で食べ物を噛み切れない、奥歯で細かく砕けないなど、咀嚼効率が低下することが少なくありません。

食べ物が大きなまま胃腸に運ばれると、胃腸への負担が増えて消化不良を起こしたり、栄養の吸収が妨げられることがあります。胃腸に負担がかかり、消化不良を引き起こす可能性があるでしょう。

慢性的な胃もたれや腹部不快感、さらには栄養不足による体調不良を引き起こすリスクがあります。

奥歯に過度な負担がかかる

正常な咀嚼ができないため、奥歯に過度な負担がかかることになります。前歯で噛み切ることができない分、奥歯が代償的に働かなければならず強い力が継続的にかかり続けるケースも少なくありません。

結果として、健康な歯であっても摩耗や亀裂、最悪の場合は歯の破折を引き起こし、将来的に歯を失うリスクが大幅に高まります。

顎関節症のリスク

下あごは前後左右自由に動かせますが、受け口の場合は下あごの動きが制限されます。食事や話す際も、常に顎関節に負担をかけている状態になるため、顎関節症になるリスクが高くなるでしょう。

顎関節症は、あごの関節や周りの筋肉に異常が起こる病気で、放置すると口が開かなくなったり、食事や会話に支障が出たりします。初期症状としてあごの痛みや関節音が現れ、進行すると開口障害や慢性的な頭痛、首や肩の凝りなど全身症状に発展することもあります。

口腔内環境の悪化と疾患リスク

受け口による歯並びの乱れは、口腔内の清掃性を著しく低下させます。歯ブラシが届きにくい部分が生じることで、プラークや歯石の蓄積が進み、虫歯や歯周病の発症リスクが大幅に上昇します。

特に、噛み合わせが悪い部分では、食べかすが停滞しやすく、細菌繁殖の温床となりやすい環境になります。歯周病が進行すると、最終的には歯の喪失につながる可能性があり、全身の健康状態にも悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

受け口をマウスピース矯正で治すことは可能?

受け口をマウスピース矯正で治すことは可能かどうか考える女性

軽度から中等度の受け口であれば、マウスピース矯正でも十分に効果があることがわかっています。

ただし、すべての受け口がマウスピース矯正で治療できるわけではありません。マウスピース矯正で可能な受け口の条件は、歯並びが原因で起こる歯槽性の軽度の反対咬合です。

具体的には、上下の前歯の傾きや位置に問題があるケースで、あごの骨格自体には大きな問題がない場合です。このタイプの受け口は、下の前歯が前方に倒れていたり、上の前歯が内側に傾いていることが主な原因となっています。

マウスピースの力で歯の位置を調整することで、正常な噛み合わせに改善できるでしょう。

マウスピース矯正で受け口を治すメリット

マウスピース矯正で受け口を治すメリットイメージ

マウスピースの矯正で受け口を治すメリットは、以下のとおりです。

見た目への影響が少ない

マウスピース矯正の最大のメリットは、装置が透明であるため、目立ちにくく周りに気づかれにくいことです。接客業や営業職の方でも審美性を維持したまま治療が受けられます。

食事の制限がない

マウスピースは取り外しが可能なため、食事の際は装置を外していつも通りの食事を楽しむことができます。ワイヤー矯正では硬い食べ物や粘着性の食べ物を避ける必要がありますが、そのような制限は一切ありません。

お仕事での会食や大切な食事の場面でも、装置を気にすることなく過ごせるでしょう。

口腔ケアが簡単

マウスピースは、食事や歯みがきのときには外します。普段どおりの歯磨きが可能なので、矯正治療中に虫歯になるリスクも少ないでしょう。

固定式装置では、ブラケットやワイヤーの周りに汚れが蓄積しやすく、装置に合わせた丁寧な清掃が必要でした。マウスピース矯正なら、普段と同様に歯磨きができるため、口腔内を清潔に保ちやすいです。また、マウスピース自体も専用の洗浄剤で簡単にお手入れできます。

痛みや違和感が少ない

痛みが少なく、違和感も少ないのもマウスピース矯正の大きなメリットです。ワイヤー矯正では調整時に強い痛みを感じることがありますが、マウスピース矯正では段階的に少しずつ歯を移動させるため、痛みを最小限に抑えられます。

また、マウスピースはプラスチック製で薄いため、装着しても痛みがほとんどありません。ワイヤー矯正のように、ブラケットやワイヤーで口の中を傷つけるリスクが低く、口内炎などのトラブルも起こりにくくなっています。

通院頻度が低い

マウスピース矯正は装置の調整がほとんど必要ないため、一般的な矯正治療よりも通院の頻度が低いです。通常は1~3か月に1回程度の通院なので、通院が難しい方でも治療を継続しやすいでしょう。

ワイヤー矯正では月1回程度の調整が必要ですが、マウスピース矯正では患者さまがマウスピースを交換するため、通院回数を大幅に減らすことが可能です。

マウスピース矯正で受け口を治すデメリット

マウスピース矯正で受け口を治すデメリットイメージ

マウスピースの矯正で受け口を治すデメリットは、以下のとおりです。

装着時間の厳格な管理が必要

1日最低20時間程度の装着が必要です。食事や歯磨きのときや、仕事でどうしても外す必要があるとき以外はマウスピースを外してはいけません。装着時間を守れない場合、計画通りに歯が移動せず、治療期間の延長や治療効果の低下を招く可能性があります。

自己管理が必要

ワイヤー矯正と違い、患者さまが矯正装置を外すことができるマウスピース矯正は、患者さまの協力度によって、治療効果に差が出ることがデメリットのひとつです。固定式装置と異なり、ご自身の意志で簡単に外せるため、つい外す時間が長くなることがあるでしょう。

適応症例の制限

歯並びや噛み合わせによっては、マウスピース矯正のみでは対応できない症状があります。骨格の問題による受け口や複雑な歯の移動が必要なケースでは、ワイヤー矯正や外科手術との併用が必要になることが少なくありません。

マウスピース矯正は歯の移動力がワイヤー矯正に比べて穏やかなため、大きな歯の移動や回転が必要な症例では限界があります。また、歯根の移動や垂直的な歯の移動も苦手な症例のひとつです。

費用が高額

マウスピース矯正は保険適応外の自由診療となるため、一定の費用負担が発生します。また、装着時間を守れずに治療期間が延長した場合、追加のマウスピース製作費用が発生する可能性もあるでしょう。

治療開始前に総額費用を確認して疑問点がある場合は、後のトラブルを回避するためにも解決しておくことが大切です。分割払いなどの支払い方法についても、歯科医院によって可否が異なるため事前に確認しましょう。

マウスピースを紛失するリスク

取り外し可能な装置のため、外食時や旅行先でマウスピースを紛失するリスクがあります。紛失した場合は再製作が必要となり、治療の中断や追加費用が発生する可能性があります。専用のケースを常に携帯する、外した際の保管場所を決めておくなど、紛失防止の対策が必要不可欠です。

マウスピース矯正で受け口を治す際にかかる費用

マウスピース矯正で受け口を治す際にかかる費用イメージ

マウスピース矯正で受け口の治療をする場合の費用相場は、部分矯正で10〜40万円、全体矯正で60〜100万円程度です。受け口の場合は部分矯正の適応となることが少なく、多くのケースで全体矯正が必要となります。

マウスピース矯正の費用には、初診カウンセリング料、精密検査料、治療計画作成費、定期的な通院費、そして保定装置の費用などが含まれるケースが多いです。一部の歯科医院では、治療期間中のマウスピース追加製作費や調整費が別途必要となる場合もあります。

治療開始前に、総額でどの程度の費用がかかるのか、途中で追加料金が発生するかどうかを確認しておきましょう。

マウスピース矯正で受け口を治す際にかかる期間

マウスピース矯正で受け口を治す際にかかる期間イメージ

受け口の方がマウスピース矯正で治療する場合、治療期間は約1年〜2年半が一般的な目安です。

しかし、症状の程度により期間は大きく変動するため、事前に確認することが必要です。軽度の受け口の場合は短期間での改善が期待できますが、中等度以上の症例では2年以上の治療期間を要することもあります。

また、患者さまのマウスピース装着時間の遵守も治療期間に大きく影響します。マウスピースは1日20時間以上の装着が推奨されており、守らない場合は治療期間が延長する可能性が高くなるでしょう。

治療完了後は、後戻りを防ぐための保定装置の使用が必要となり、保定期間も治療の重要な一部として考慮する必要があります。

まとめ

受け口をマウスピース矯正で治療し笑顔になる女性

マウスピース矯正は軽度から中程度の歯槽性受け口に対して有効な治療法です。治療の成功には、正確な診断が欠かせません。受け口の原因が骨格にあるのか歯の位置にあるのかによって、適切な治療法は大きく変わってきます。

また、マウスピース矯正を選択する場合は、1日20時間以上の装着時間を守ることが治療効果を左右する重要な要素です。

マウスピース矯正による受け口の治療を検討されている方は、愛知県豊橋市にある三宅歯科医院にお気軽にご相談ください。

当院では、予防歯科とマウスピース矯正に力を入れています。虫歯・歯周病治療やホワイトニング、入れ歯治療、インプラント治療なども行っています。当院のホームページはこちらWEB予約も受け付けておりますのでご覧ください。

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