歯石の沈着を予防するには?原因や歯石除去についても解説


歯石除去のイメージ

こんにちは。愛知県豊橋市にある三宅歯科医院です。

歯科医院で歯石の付着を指摘され、クリーニングを受けたことがある方は多いのではないでしょうか。歯石とは、歯垢(プラーク)が石灰化して固くなったものであり、歯ブラシでは取り除けません。

そのため、歯科医院で定期的に除去する必要があります。歯科医院に頻繁に通うことが難しく、歯石の付着を予防する方法について知りたいと考える方も多いでしょう。

この記事では、歯石ができる原因や、付着を予防する方法について詳しく解説します。記事の後半では、歯科医院で行う歯石除去についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

歯石とは

歯石が付いている人の歯

歯石とは、歯の表面に付着したプラークが、口内の唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラルと結合して石灰化したものです。石のように固くなるため、セルフケアで取り除くことはできません。

歯石ができる原因

プラーク中の虫歯菌が生成する酸により、歯の表面が溶けてカルシウムやリンなどのミネラルが失われる脱灰という現象が起こります。唾液には、歯の表面から溶け出たミネラルを補う再石灰化という役割があり、多くのミネラルが含まれています。

歯石は、唾液に含まれるミネラルとプラークが結合することで形成されます。そのため、唾液腺の付近は歯石ができやすいです。特に、下の前歯の裏側や上の奥歯の頬側に付着しやすいです。

歯石の種類

歯石には、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の2種類があります。歯肉縁上歯石は、歯と歯茎の境目から歯の表面に付着している歯石で、肉眼で確認できます。歯肉縁下歯石は、歯と歯茎の境目の溝(歯周ポケット)の中に付着している歯石です。

歯肉縁上歯石は比較的柔らかく除去しやすいですが、歯肉縁下歯石は硬く除去しにくいです。

歯石を放置するリスク

プラークが歯に付着して48時間経過すると、歯石が形成されはじめ約2週間で石のように固くなります。歯石になると歯ブラシでは取り除けなくなるため、歯石になる前にプラークを取り除く必要があります。

歯石が虫歯や歯周病の直接的な原因になるわけではありませんが、歯石の表面はざらざらしているため、プラークがさらに付着しやすくなります。虫歯菌や歯周病菌の温床となるだけでなく、口臭の原因にもなります。

歯石が付きやすい人の特徴・原因

歯ブラシと歯

歯石は誰にでもできますが、特に歯石が付きやすい人と付きにくい人がいます。歯石のできやすさには、口内の清掃状態、体質、生活習慣が関与しており、歯石が付きやすい人には次の4つの特徴があります。

  • 歯磨きが不十分で磨き残しがある
  • 唾液がアルカリ性に傾いている
  • 口内が乾燥している
  • 喫煙している

それぞれ詳しく解説します。

歯磨きが不十分で磨き残しがある

歯石はプラークが石灰化して形成されるため、歯磨きが不十分で磨き残しがあるとプラークが蓄積して歯石になります。特に、歯と歯の間や歯と歯茎の境目、奥歯など、歯ブラシの毛先が届きにくい場所は磨き残しが多く、プラークが溜まりやすいです。

また、歯並びが悪い人は、歯が重なっている部分に磨き残しが多くなりやすいため、歯石が付きやすいです。

唾液がアルカリ性に傾いている

唾液は本来中性に近い弱酸性ですが、唾液の量が多いほどアルカリ性に傾きます。唾液がアルカリ性に傾くとミネラルが多く含まれるため、歯石が付きやすくなります。そのため、唾液腺が近くにある前歯の裏側や奥歯の頬側には、歯石が付きやすいです。

唾液がアルカリ性に傾いているかどうかは、歯科医院で唾液の検査を受けないとわかりません。歯科医院で行う唾液検査では、虫歯菌の数や口内の酸性度、アンモニア値などがわかります。

口内の清潔度、歯と歯茎の健康状態を数値で確認できるため、興味のある方は検査を受けてみましょう。

口内が乾燥している

唾液が多いと歯石ができやすいですが、口内が乾燥している人も歯石が付きやすいです。口内が乾燥していると、口内の自浄作用が低下します。そのため、プラークが口内に溜まりやすく、その結果、歯石が付きやすくなります。

ストレスや疲労、緊張、加齢、薬の副作用などが原因で唾液の分泌量は減少します。また、水分の摂取量が少ない人や口呼吸が癖の人も口が乾燥しやすいです。

喫煙している

たばこを吸うと歯にヤニが付着します。ヤニは粘着性がありプラークが付着しやすくなるため、歯石も付きやすくなります。ヤニは歯磨きでは除去できないので、喫煙していない人と比べて歯石が付きやすいです。

歯石が付くのを予防する方法

歯石がつくのを歯磨きで予防する人

歯石が付くのを予防すれば、虫歯や歯周病のリスクを軽減することができます。歯石の付きやすさには、口内の清掃状態、体質、生活習慣が関与していますが、適切に対策すれば歯石の付着を予防できます。

歯石が付くのを予防するためには、次の3つの方法が有効です。

  • 毎日の口腔ケアを丁寧に行う
  • 歯科医院で定期的にクリーニングをする
  • 生活習慣を改善する

それぞれの予防法について解説します。

毎日の口腔ケアを丁寧に行う

歯石が付くのを予防するのに特に重要なのは、歯石の原因となるプラークを除去することです。毎日歯磨きを行っても、磨き残しが多いと歯石が付きやすくなります。そのため、正しいブラッシング方法で1本1本の歯を意識しながら丁寧に磨くことが重要です。

歯の表面を磨くときは、歯に対して歯ブラシを直角に当ててください。歯ブラシを左右に小刻みに動かして磨きましょう。歯と歯の間には歯ブラシの毛先が十分に届かないため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用してください。

歯と歯茎の境目を磨くときは、歯ブラシを45°の角度で当てて毛先を歯周ポケットの軽く入り込ませます。力を入れすぎると歯茎が下がる原因となるため、優しく磨きましょう。

また、就寝中は唾液の分泌量が減少し、口内に細菌が繁殖しやすくなります。毎食後の歯磨きだけでなく、就寝前も念入りに歯磨きしましょう。

歯科医院で定期的にクリーニングをする

毎日の口腔ケアを丁寧に行っても、プラークを完全に取り除くことはできません。取り残されたプラークは歯石に変わり、その上にさらにプラークが蓄積するようになります。

歯石になるとセルフケアでは取り除けないため、定期的に歯科医院でクリーニングをして除去しましょう。特に歯石が付きやすい人は、通常よりも短い間隔で受診するのが望ましいです。

生活習慣を改善する

喫煙などの唾液の分泌量が減少する生活習慣、口呼吸などの癖があると、歯石が付着しやすくなるため生活習慣を見直すことも大切です。

禁煙をしたり、ストレスや疲労を回復するために十分な休息をとったりしましょう。意識的に水分を摂取し、ガムを噛んで口内の乾燥を防ぐことも重要です。

歯科医院で行う歯石除去について

歯科医院で歯石除去をしている様子

プラークが歯石に変化すると、歯ブラシでは取り除けません。自分で歯石除去ができる道具なども販売されていますが、無理に自分で歯石を取ろうとするのは避けましょう。

歯茎を傷つける可能性があり、市販の道具では歯周ポケット内の歯石を除去することはできないためです。必ず歯科医院で除去してもらいましょう。

歯石の除去方法

歯科医院で歯石を除去する際には、スケーラーと呼ばれる特殊な器具を使用します。歯石除去で一般的に使用されるスケーラーは、超音波スケーラーとハンドスケーラーです。

超音波スケーラーは、超音波振動によって注水下で歯石を粉砕・除去する器具です。ハンドスケーラーは、超音波スケーラーでは除去しきれなかった歯と歯茎の境目の歯石を、手動で丁寧に取り除く方法です。

歯周病がある場合の歯石除去

軽度から中等度の歯周病がある場合、歯周ポケット内にも歯石が溜まっているため、歯周ポケット内に器具を挿入して歯石を除去します。器具を挿入する際に痛みが伴うことがあるため、必要に応じて麻酔を使用します。

中等度から重度の歯周病がある場合は、器具が到達できないほど歯周ポケットが深くなっていることが多いです。このような場合は、歯茎を切開して歯石や炎症している組織を直接除去します。

歯石除去を行う頻度

歯石除去を行う頻度のイメージ

歯石除去を行う頻度は、一般的には3か月に一度が望ましいとされています。歯石が付きやすい人や歯周病が進行している場合は、1~2か月に一度の受診が必要な場合もあります。

歯科医院で定期的に歯石除去を行っても、日々の口腔ケアを怠ると歯石はすぐに沈着します。プラークは付着して48時間程度で歯石に変化し始めるため、歯石になる前にプラークを除去することが重要です。

まとめ

歯石除去を行い綺麗な口元の人

歯石はプラークが歯に長時間付着すると形成されるため、歯石になる前にプラークを取り除く必要があります。毎日の口腔ケアにおけるプラークの除去率を高めることが、歯石の沈着を予防する上で重要です。

しかし、どれだけ丁寧に口腔ケアをしても、プラークを完全に取り除くことは難しいです。歯石は少しずつ口内に蓄積していきます。

歯科医院は痛みがないと受診しない方が多いですが、3か月に一度は定期健診を受けましょう。プラークや歯石を定期的に除去してもらうことが重要です。歯石が付きにくい口内環境を保てば、虫歯や歯周病の予防にもつながるでしょう。

歯石除去を検討されている方は、愛知県豊橋市にある三宅歯科医院にお気軽にご相談ください。

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